浴室リフォームを考えるときに注目しがちなのが、ユニットバスのお手入れのしやすさや機能・デザインなどではないでしょうか。しかし、ユニットバスを選ぶときには、まずサイズが適切であるかを確認することが重要です。適したサイズの製品のなかから機能やデザインなどを絞り込むと失敗がありません。ここでは、ユニットバスのサイズ展開や設置条件、選び方のポイントなどについて紹介します。
カタログやショールームなどでユニットバスを見ると、「0.75坪タイプ」や「1坪タイプ」など、坪数で表示されていることがあります。これは浴室の床面積を表示したもので、坪数が同じだからといって希望するユニットバスが設置できるとはかぎりません。ユニットバスを選ぶときには浴室の内寸を確認しておきましょう。
ユニットバスとは、壁・天井・床・浴槽など、あらかじめ工場でつくられたパーツを現場で組み立てるタイプの浴室です。サイズは「1616」や「1624」など、浴室内の奥行きと幅を表す数値で表現されています。
1616サイズであれば奥行き1600mm×幅1600mm
1624サイズであれば奥行き1600mm×幅2400mm
という具合です。
規格サイズは10cm単位で設定されています。これは浴室の内寸で、自分で測ることができるため、ぜひ確認してみてください。
TOTOアクリアバスのカタログより
サイズ | 坪 | 浴室内寸 |
---|---|---|
1216 | 0.75坪 | (奥行き)1200mm×(幅)1600mm |
1317 | 0.75坪 | (奥行き)1300mm×(幅)1700mm |
1616 | 1坪 | (奥行き)1600mm×(幅)1600mm |
1717 | 1坪 | (奥行き)1700mm×(幅)1700mm |
1618 | 1.25坪 | (奥行き)1600mm×(幅)1800mm |
1620 | 1.25坪 | (奥行き)1600mm×(幅)2000mm |
1624 | 1.5坪 | (奥行き)1600mm×(幅)2400mm |
1818 | 1.5坪 | (奥行き)1800mm×(幅)1800mm |
ユニットバスのサイズの表記について「なぜ坪数で表記しないのか?」と思う人もいるでしょう。この理由はユニットバスの壁の厚みがあるからです。
ユニットバスは、簡単にいうと完成したお風呂のプレハブを持ってくるようなもの。たとえば浴室用のスペースが1坪あって、そこにユニットバスを持ってきたとします。当然ですが、元の1坪のスペースは全部使えるわけではありません。ユニットバスの壁があるので、その分狭くなります。
そうなると「狭くなった後の広さは、どれだけなのか?」が重要になります。お風呂に入るときは、そのユニットバスの中で過ごすわけですから、元の浴室スペースの広さは関係ないのです。あくまでユニットバスの壁の中の広さが重要になります。
そのため「このユニットバスは、1坪のスペースに設置する用です」「ただし、内部の広さは160cm×160cmです」というように、広さを伝える必要があります。これが1616などの数字で表記される理由です。
なお、1坪は183cm×183cmなので、ここにユニットバスを設置する場合、浴室サイズが最大でも170cm×170cmとなります。これだと、ユニットバスの壁の厚みが13cmということです。強度を考えれば自然とこのくらいの厚さが必要になるので、1坪タイプのユニットバスの最大は1717になります。
ユニットバスは戸建て用とマンション用に分かれています。戸建てとマンションでは、浴室の床下や天井の高さに違いがあるためです。一部のマンション用ユニットバスを戸建てに設置することはできますが、戸建て用のユニットバスをマンションに設置することはありません。戸建て用のユニットバスは、坪で表記されています。
坪数は通常「尺モジュール」を基準としています。尺モジュールは
「1間1.82m」
「1坪3.3平方メートル」
です。
たとえば
「1.25坪サイズ」とされているユニットバスなら1820mm×2275mmのスペースに収まりますが、4桁の数字では「1620サイズ」と表記されます。壁の厚みと据え付けのためのゆとりを確保すると、実際に設置できるユニットバスは内寸1600mm×2000mmになるためです。
尺モジュールのほかに
「1間2m」
「1坪4平方メートル」
のメーターモジュールに対応するユニットバスもあります。
一方、マンション用のユニットバスはサイズ展開が豊富で、戸建て用よりも小さなサイズも用意されています。マンション用の最小サイズには「1014サイズ」という規格があり浴室内寸は1000mm×1400mmです。
かなり小さめではありますが、狭いスペースでも浴槽が欲しいという場合にはうれしい選択肢となります。
浴室のリフォームでユニットバスを入れるときは、浴室のスペースはもちろん、搬入経路にも気をつけなくてはなりません。
ユニットバスは壁や天井などの各パーツがあらかじめつくられている規格品です。施工時には各パーツを外部から搬入し、現場で組み立てていきます。そのため、玄関から浴室まで各パーツをスムーズに搬入できるかどうかの確認が必要です。
目安としては間口65cm以上、曲がり角では75cm以上の幅を確保できれば、ほぼ問題なく搬入できるでしょう。
ユニットバスからユニットバスへのリフォームは、同じサイズであれば工事にかかる費用や日数を抑えることができます。
在来工法の浴室からユニットバスへリフォームする場合は
壁や床の解体⇒給排水接続⇒電気配線などの工事⇒ユニットバスの組み立て
という手順になります。
解体してみて土台や柱が傷んでいた場合には、補修工事が必要になります。在来浴室からのリフォームでは、日数や費用をやや多めに予定したほうがよいでしょう。
パーツを搬入して組み立てるだけと聞くと簡単そうに感じますが、ユニットバスを設置できないケースもあります。
たとえば
・浴室内の角が柱で飛び出している
・浴室が五角形や六角形などの珍しい形状をしている
といった場合には、規格品であるユニットバスは設置できません。
また
・天井が高い
・屋根が傾斜している
といった場合にも、施工が難しくなります。
どうしてもユニットバスを設置したいなら、大がかりな間取り変更などが必要になり、工事日数も費用もかさんでしまうでしょう。もしくは、現在の浴室よりも小さなサイズのユニットバスを設置することになります。
また、浴室の位置そのものを移動するというのも大規模な工事になります。床下の配管を動かせない場合には、浴室を移動することはできません。ほかにも、浴室の床下があまりに劣化している場合には、ユニットバスを設置する前にしっかりと修繕を行う必要があります。
解体してはじめてわかることがほとんどのため、見積もりのときには「修繕工事が発生した場合は別途費用がかかります」と伝えられるでしょう。リフォームの予算は余裕をもって計画しておくと安心です。
ユニットバスを選ぶときにチェックしたいポイントをいくつか紹介します。浴室をリフォームする際の参考にしてください。
ユニットバスの場合浴槽の奥行き(短辺)は約70cmほどです。
これはユニットバスのサイズが0.75坪タイプでも1.5坪タイプでもほぼ同じです。ユニットバス全体の広さが大きいほど、洗い場もゆったりと確保できます。子どもといっしょにお風呂に入る、介護が必要な家族がいるといった場合には、洗い場が広いほうが快適に入浴できるでしょう。浴室全体を広げられるユニットバスもありますので、必要に応じて確認してみましょう。
逆に浴槽を大きくしたいなら、ワイドタイプの浴槽をチェックしてみましょう。標準仕様の約70cmよりも10~20cmほど奥行きが広くなります。また、浴槽の形状によって湯量や使い勝手が変わってくるので、こちらもチェックしたいところです。家族構成を考慮したうえで選びましょう。
もっとも一般的な浴槽です。容量は少なめですが、そのぶん洗い場スペースを広くとることができます。
TOTOのラウンド浴槽
上から見ると直角三角形に近い形で、一角が腰かけられるような形になっています。腰をかけながら浴槽のなかへ移動できるため、足腰に不安がある人などは入浴が楽になるでしょう。浴槽内にステップ(段差)があるタイプは、半身浴や小さな子どもといっしょに入るときに便利です。
TOTOのデルタ型浴槽
容量が大きく家族でゆったりと入浴できますが、そのぶん洗い場は狭くなってしまいます。こちらも浴槽内にステップがついたタイプがあり、お風呂でのんびりくつろぎたい人にはおすすめです。
TOTOのシェル型浴槽
家族に小さな子どもや高齢者がいる場合はもちろん、万一のことを考えて安全性も考慮しましょう。出入り口の広さや段差、浴槽の高さ、床のすべりにくさなどはチェックしておきたいところです。必要に応じて、棚のでっぱりや手すりの有無、水栓のチャイルドロックなども確認しておきましょう。また、冬場には入浴中の死亡事故が多発していることを考えると、浴室暖房やインターフォンがあると安心です。
滑りにくい床と安全な高さに配慮した入りやすい浴槽(TOTOのアクリアバス)
浴室リフォームで工期や費用を抑えるには、既存と同じサイズのユニットバスを選ぶのが基本です。しかし近年、浴室スペース全体を広げられるタイプのユニットバスが登場しています。
配管経路を見直し、デッドスペースを利用することで、5~10 cmほど浴室を広げられるようになりました。マンションの場合はあらかじめ余裕をもってユニットバスを設置していることも多く、拡張工事なしで浴室を広くできる可能性があります。より快適なバスタイムを楽しみたい人は検討してみてはいかがでしょうか。
ただし、施工可能かどうかは事前に念入りに測定をしてみないとわかりません。浴室を広げることができるかどうかは、リフォーム業者やショールームの担当者に相談してみましょう。
ユニットバスの規格サイズは10cm刻みで設定されています。たかが10cmといっても、浴室という小さな空間では体感的にも大きく変わります。もし自宅に和室があれば、畳2枚の真ん中に座ってみてください。畳の縁から10cm狭くなったとしたら窮屈に感じないでしょうか。
その違いを実感するためには、ショールームで実際にユニットバスの大きさを確認するのがおすすめです。家族で浴室に入ってみたり、浴槽のなかで足を伸ばしてみたりして、そのサイズを体感してみましょう。ショールームで体験できるのはサイズ感だけではありません。壁や床、浴槽の材質や肌触りなども体感できます。排水溝の受け皿も手に取って確認できるため、お手入れのしやすさなども確認できるでしょう。
展示されているユニットバスを見ていると、目移りしてますます悩んでしまうかもしれません。しかし、カタログだけではわからないことはたくさんあります。違いを知るために、また後悔しないために、できるかぎりショールームに足を運んで実物を見ることをおすすめします。
リノコではショールームの予約代行も行っておりますので、お気軽にお問い合わせください。
ショールームで体感してみましょう
ユニットバスを選ぶときはサイズに注意しなければなりませんが、同じサイズであれば全く問題がないかといえば、そうとも断言できません。
同じ「1216」や「1418」などと表記されていたとしても、メーカーによっては若干の違いがあるのです。内部はもちろん外部構造も異なるため、ユニットバスを入れるために必要なスペースが変わってきます。また、同メーカー・同サイズのユニットバスでも注意が必要です。
規格やシリーズによっては、同サイズでもパーツの大きさが異なることがあり、スムーズに入れ替えができない可能性も否定できません。たとえば1216サイズのユニットバスで、内寸の長辺1600mmは同じでも、外寸が異なるものがあります。外寸のサイズが合わなければ、壁を壊して拡げるなど予想外の追加工事になるでしょう。
マンションの場合には、まれにオリジナル仕様のユニットバスを使っているケースがあります。部屋数の多い大規模マンションでは、新築時に大量の住宅設備を注文するため、メーカーにオリジナル仕様を融通してもらえるからです。もしもオリジナル仕様だとしたら、同メーカー・同サイズのユニットバスでもサイズが合わないというケースがあるかもしれません。
このような失敗を避けるためにも、ユニットバス選びは慎重に行うことをおすすめします。わからないことや気になることがあれば、メーカーにどんどん質問するようにしましょう。
ユニットバス丸ごとリフォームではなく、浴槽のみを交換したいという要望もあるでしょう。
ユニットバスには、浴槽が置き型のタイプと床と一体型のタイプがあります。置き型であれば浴槽のみの交換が可能です。この場合にも浴室のサイズを確認して浴槽を選択するのですが、サイズが同じだからと安心してはいけません。ユニットバスの浴槽はほぼ壁際ぎりぎりにしっかり収まる大きさです。少しでもサイズが違うと収まらなかったり、すき間ができたりするなどの不具合が生じます。
浴槽のサイズがぴったりでも、床の設置位置がずれてしまうというトラブルが起こるかもしれません。いずれも調整のための追加工事が発生します。「浴槽の交換だけだから」と軽く考えずに、必ずメーカーに確認するようにしましょう。同じメーカーでの交換を考えている場合は、元の商品の品番を伝えれば同じ規格の新商品を教えてもらえるはずです。もし品番がわからなくても、写真で調べてくれるメーカーもあります。
せっかくのリフォームで後悔しないためにも、遠慮せずに事前に相談するようにしましょう。
ユニットバスのリフォームを考えたとき、予算を優先するなら、浴室を拡げたり場所を移動したりといった大規模な工事が必要ないサイズ選びをするのがよいでしょう。しかし、サイズ選びは使い勝手にも影響する問題です。後悔しないためにも、よく検討したうえで慎重に適切なサイズを選ぶようにしましょう。
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