有事に備える!耐震リフォームにかかる費用と基礎知識

南海トラフで30年以内に大地震が起こる確率は70%ともいわれている現在、残念ながら耐震化はあまり進んでいるとは言い難い状況です。そこで、いざというときに命を守るための耐震化について、どのような工法があるか、コストはどのくらいかかるのかなどの情報を詳しく紹介していきます。

345views | 2018年01月31日更新

CONTENTS
  1. 地震の多い日本だからこそ耐震補強を
  2. 耐震、制震、免震の違いを押さえる
  3. 耐震リフォームの方法にはどのようなものがあるのか
  4. 木造と鉄筋で変わってくる費用相場
  5. 費用を抑えるためにも補助金や減税を利用する
  6. 失敗しないリフォーム会社の選び方
  7. まとめ

地震の多い日本だからこそ耐震補強を

2011年に起こった東日本大震災以降、日本では規模の大きな地震が度々起きています。もはや想定外という言葉が通用しない時代に入っているのだといえます。また、日本だけでなく世界の各地でも大規模な地震や火山噴火があり、一部では地球の地殻が変動期に入ったという説も発表されています。

このように、いつ大規模な地震が起こるかわからない状況で自身や家族を守るには、十分な備えをしておくことが大切です。食料や水、救急セットなど、避難する際に必要なものを揃えたり、いざというときの避難所を確認したりするなど備えておいた方が良いことは山ほどあります。
しかしその備えは、命が守れてこそ活用できる備えであり、そもそも、まず考えておくべきことは、地震が起こった瞬間に身を守ることです。

重要なのはその時に身を守れるかどうか 重要なのはその時に身を守れるかどうか

例えば、就寝中に大地震が起こった場合、倒壊の危険がある住宅だったり、倒れやすい家具がある部屋だったりするとケガの危険性が高まります。最悪な場合、命の危険も伴います。厚生労働省の「人口動態統計からみた阪神・淡路大震災による死亡の状況」によると、震度7を記録した阪神・淡路大震災での死亡原因の77%が窒息・圧死だったということです。

倒れる恐れがあるものは事前に対策を 倒れる恐れがあるものは事前に対策を

そのような危険を避けるには、倒壊しないように住宅の耐震レベルを上げ、家具を固定しておくことが何より優先されます。そして次に必要になる行動が、必要なものを携帯して避難することです。そうすることで就寝中の地震でも、安全を確保できる可能性が高くなります。また、津波や余震での倒壊の危険性がない状況であれば、自宅での避難生活も可能です。

このような時代の日本だからこそ、いざというときのために耐震補強はできるだけ早いタイミングで行っておくことが日々の安心につながっていくといえます。

耐震、制震、免震の違いを押さえる

耐震補強には主に「耐震」「制震」「免震」などの3種類の技術があります。

耐震とは

倒壊は防げるが中の安全性には欠ける 倒壊は防げるが中の安全性には欠ける

耐震とは、骨組みや壁などの建物自体の強度を補強するものです。具体的には、柱と柱の間に斜めに木材を交差させて強度を補強する「筋交い」を追加したり、接合部分の強度を金物などで高めたりといった方法などがあります。

現在の建築基準法で義務とされている耐震構造は、地震の瞬間や直後に建物が倒壊することを防ぎ、建物内にいる人が避難できることが前提となっています。まさに、地震の瞬間に命が守られることを目標としているのです。しかし病院や避難所として機能する建物の場合は、避難する余裕を作るための耐震ではなく、地震後も使用できる強度が必要とされます。住宅への耐震補強でも、どのレベルの耐震性能を求めるかで工事内容が異なります。

制震とは

高さのあるマンションなどには有効 高さのあるマンションなどには有効

続いて制震とは、建物の内部にダンパーなどのゴムやバネのような伸び縮みする制震装置で、地震による揺れを吸収させる技術です。2階建て以上の建物の場合、上の階ほど大きく揺れますが、制震工法は2階以上の揺れを抑えることができるため、高層ビルに有効な技術だといえます。また繰り返される地震にも強いうえ、コストは次に説明する免震に比べると低く抑えられます。

免震とは

中の揺れを最大限に抑えることができる 中の揺れを最大限に抑えることができる

その免震とは、建物と基礎との間に免震装置を組み込んで、建物が地面から切り離された状態にして、地震の揺れが建物に伝わらないようにする工法です。約85%~95%もの地震による揺れが免震装置により抑制されるため、その建物内では水平方向の揺れをあまり感じないのが特徴といえます。

しかし、コストは免震よりも割高になり、縦揺れにはあまり効果を発揮できません。そして液状化しやすい地盤や軟弱な地盤などには不向きです。また、定期的なメンテナンスをしなくてはならないため、維持費も考慮する必要があります。ちなみに1981年と2000年に、建築基準法で耐震基準が大きく変わりましたが、いずれでも定められているのは耐震に関する基準のみです。

耐震リフォームの方法にはどのようなものがあるのか

耐震リフォームにはさまざまな工法があり、どの方法を選択するかは耐震診断の結果を把握し、その建物や地形などにふさわしいものにする必要があります。

耐震リフォームの主な工法の一つが、水平方向の力に抵抗できる「耐力壁」です。耐力壁は木造の建物にも、鉄筋コンクリート造やプレハブ住宅にも使われ、台風の横風にも抵抗する力があります。
耐力壁の中で使用される代表的なものが、軸組工法の筋交いです。またツーバイフォー工法では、構造用合板といわれる日本農林規格(JAS)で定められた面材(建築で使用する板状の材料)などが使用されます。

筋交いを使った耐力壁 筋交いを使った耐力壁

2000年以前の基準で建てられた建物は、耐力壁の量やバランスの規定が今ほど厳しくなかったので、窓が多い方角の耐力壁が少なくなりがちでした。そのように耐力壁が偏った状態では、建物がねじれるように倒壊してしまいます。阪神・淡路大震災でも耐力壁のバランスが悪い建物の倒壊が問題になりました。

一方、新耐震基準で鉄筋コンクリート造と定められた「基礎」の耐震補強も優先すべき工法です。たとえ建物の耐震リフォームを行っても、それを支える部分が弱いと地震に抵抗する能力が発揮できるとはいえません。そのため、無筋コンクリートの場合は、鉄筋コンクリートにするなどの方法で基礎を強化する必要があります。
また、基礎にひび割れがあったり、柱が劣化していたら、その部分の補修も同時に行うことで強度不足を補います。

その他に、柱や土台との接合部分に耐震用金具を使用して補強することも耐震リフォームには欠かせません。加えて、もしシロアリの害や腐食している箇所があれば、その部分の修繕が必要です。また、屋根に重い瓦を使用している場合は、軽量化も合わせて行う必要があります。

上記の他にも、さまざまな工法があるので、信頼できる専門家にアドバイスを受けて判断することも大切です。

木造と鉄筋で変わってくる費用相場

リフォームをしようと決めたら気になるのが費用です。木造と鉄筋で費用の相場がどのくらい異なるのか、耐震基準が変わる前後ではどのような違いがあるのかについて、説明していきます。

木造の耐震補強工事は、旧耐震基準の1981年より前の建物とそれ以降の建物で工事の平均金額に差がありました。全国の工務店や設計事務所などが参加している「日本木造住宅耐震補強事業者協同組合」の2006年から2015年の調査では、耐震補強工事の平均金額が約152万円で、中央値が約128万円という結果でした。
しかし1981年以前の基準で建築されたものに対象を絞ると、工事費の平均金額が約175万円となっています。一方、1981年以降の建物の平均工事費は133万円となっているので、40万円以上の差があることがわかります。

それは、1981年以前に求められていた耐震基準と現在の耐震基準とが大きく異なるからだけでなく、経年劣化したものの修繕も必要になることが、コスト増につながるのだと考えられます。
一方、1981年以前の建物でも耐力壁のバランスが良く、高いレベルの耐震基準をクリアした建物では、低コストでの耐震補強になったケースもあります。また、1995年もしくは、2000年以降の建物の場合も同様のケースがありました。

続いて、鉄筋コンクリート造の耐震補強工事の費用については、15,000円/平米~50,000円/平米が一応の目安となります。金額に差があるのは、建物の構造や大きさ、使う資材などにより、同じ築年数のものでも大きく異なる場合があるからです。

例えば壁の場合、耐震性能を上げるために鉄筋コンクリートの壁を増設するのか、鉄骨耐震ブレースで補強するのかで単価が数十万円以上違ってしまいます。また、制震構造にするのか、免震構造にするのかでも100万円単位の価格差が生じます。このようなことから、単純に木造と鉄筋との比較はできませんが、仮に120平米の住宅を20,000円の単価で計算したら、費用が240万円となります。

したがって構造や使用する資材等により、木造と比べると鉄筋の方が耐震補強のコストの負担は大きいことがわかります。しかし、耐震補強や定期的なメンテナンスにより建物の寿命が延びると、建て替えのコストを抑えることができるため、トータルでは必ずしもコスト高とは言い切れない面もあります。

費用を抑えるためにも補助金や減税を利用する

1981年以前の建物は耐震補強の費用が高くなるので、耐震リフォームするのに躊躇しがちです。そのような場合は、住んでいる地域の自治体に耐震補強に関する制度があれば、補助金を受けられる可能性があります。

自治体によって補助金制度がある 自治体によって補助金制度がある

例えば横浜市では、昭和56年(1981年)5月31日以前に着工した2階建以下の在来軸組構法の木造の耐震診断が無料になります。その他、さいたま市や名古屋市、神戸市なども無料になり、千葉市では費用の3分の2が補助されます。

そして横浜市の場合、耐震診断の点数が1.0未満であれば耐震補強工事への補助金が75万円を上限に支給されます。その要件となる耐震診断の点数とは、0.7未満が「倒壊する可能性が高い」、0.7~1.0未満が「倒壊する可能性がある」というものです。このような補助金は、全国の80%以上の自治体で実施されているので、耐震補強を検討する際は問い合わせてみることをおすすめします。

また、平成33年12月31日までに耐震リフォームをした場合、耐震改修促進税制により所得税から標準的な工事費用の10%(上限は250万円)が控除されます。ただし、昭和56年5月31日以前に着工されたもので、現在の耐震基準をクリアしないものといった要件があります。この控除は、工事完了後1年間しか有効ではないので申請する場合は注意が必要です。

失敗しないリフォーム会社の選び方

リフォームしようと決めた後に直面するのが、リフォーム会社選びです。信用できるのか、地域や地形の特性にあったリフォームができるのかなど、心配の種は尽きません。ここで大切なのが、耐震リフォームが命を守るリフォームだということです。依頼する業者に命を預けるようなものですから、依頼する業者がどのような手順で工事をするのかきちんとチェックすることが大切です。

まず、きちんとした耐震診断をせずに耐震補強することはあり得ません。補強すべき弱点と、その部分にふさわしい補強方法などをきちんと素人にもわかりやすく説明できるかどうかをチェックする必要があります。ここで注意すべき点は、耐震診断には専門的分析が欠かせないため、調査してすぐに正確な補強箇所や適した補強方法を提案することが難しいということです。

もちろん、分析しなくても明らかに耐震補強が必要な物件も存在しますので、耐震補強が必要だとすぐにわかる場合もあります。しかし建物のバランスを考えた補強方法は、やはり分析や計算が必要なので、耐震診断をしてすぐに契約を迫られても、その場での契約は避けた方が無難です。また、警戒したほうが良いリフォーム会社は、「次に震度5強以上の地震が起きると必ず倒壊します」、「今の状態で倒れない方が不思議です」など、必要以上に恐怖心をあおる傾向もあります。

その他に、技術力がなくても手を入れられる、屋根や床下の工事だけを勧められる場合も注意が必要です。地震に強い家は建物のバランスが重要なため、一部分だけの工事で完了することは、ほぼありません。まして屋根だけ金具で耐震補強したら、建物の最上部が重くなるので耐震性能の意味がないだけでなく、逆に危険性が高まってしまいます。

信頼できる業者に頼もう 信頼できる業者に頼もう

このような事態を避けるためにも、リフォーム会社を選ぶ際のチェック項目を決めておき、チェックをしながら話を進めることが大切です。また、減税などの手続きの際に必要な耐震基準適合証明書を出せるのは、耐震基準適合判定資格者でなければならないので、有資格者かどうかを確かめることも必要になります。

まとめ

日本では、東日本大震災以降も熊本地震などの大きな地震を経験しています。そのような中、国や自治体から耐震補強の重要性が呼びかけられているものの、耐震化が進まないのが現状です。その理由の一つとして、耐震リフォーム費用の負担の大きさが挙げられます。

しかし、1981年以前の建物でリフォームの費用が大きい場合は、補助金や減税などを利用することで負担を軽減できます。また、1981年以後の建物によっては、不足する耐震性能を追加するだけの工事ですむ場合もあり、それほどコストがかからないケースも存在します。いつか起こる可能性の高い地震が、今起こっても困らないよう、有事に備える一歩を踏み出してはいかがでしょう。

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