賃貸借契約には欠かせない!原状回復工事の概要

賃貸借契約には欠かせないことの1つに原状回復工事があります。使用年数や使い方によって異なる部分も多く、貸し主の判断による部分も見られる原状回復は、どこまで借り主が負担すべきなのでしょうか。また、原状回復工事の義務を負う場合には、どんなものがあるのか知っておく必要もあります。賃貸契約をする前に、退去する時にかかるもので最も費用の負担が考えられる原状回復工事の必要性と種類、そしてそれぞれの相場をきちんと把握しておきましょう。

312views | 2017年04月14日更新

CONTENTS
  1. そもそも原状回復とは一体?なぜ賃貸借契約に必要なの?
  2. 原状回復工事の種類と詳細!どんな工事がある?
  3. 原状回復の内容は状況次第!ケースで必要な項目は異なる
  4. 項目毎で考える原状回復工事費用の相場
  5. 適切な原状回復工事を行うために!種類と相場を把握しておこう

そもそも原状回復とは一体?なぜ賃貸借契約に必要なの?

建物を賃借する場合には、解約して退去する際に原状回復が必要になります。これは、アパートやマンション、そして一戸建てなどの居住用を目的とした物件のほか、事務所や店舗などを対象にほとんどの賃貸借契約書に盛り込まれているものです。

原状回復とは賃借していた物件を借りた時の初めの状態に戻すことですが、どこまで負担が必要なのでしょうか。国土交通省によれば「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失によるもの、または善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」を原状回復の定義であり義務としています。

原状回復工事に関しては、すべての賃貸借契約に同一の内容が該当するというわけではなく、賃借の対象によってさまざまです。また、貸し主によってどこまで原状回復させたいかという考え方が異なる部分もあり、費用の負担割合なども含め多くの場合は契約の段階で契約書に明記する形が取られています。しかし、線引きがあいまいなものも多く、貸し主と借り主の双方の解釈違いによるトラブルも珍しいことではありません。
一般的には、入居後に改造などを加えた場合や、故意または過失により生じた破損など、通常使用では考えられない損壊や改造に対して入居者が原状回復工事の義務を負うものとされています。

住んでいると必ず劣化するので次の人のために原状回復があります 住んでいると必ず劣化するので次の人のために原状回復があります

これに対して経年劣化など通常使用で生じる汚損などは対象外という見方がされていますが、貸し主によっては経年劣化の部分も含んで考えている場合も見られます。このような相違があった場合、一般的には、管理会社が双方の意見を聞いて中立的な判断でまとめたり、本人達が直接話し合ったりすることでお互い譲歩して解決されますが、場合によっては裁判に発展し、最終的な結論は裁判所に委ねられることもあります。

原状回復工事の種類と詳細!どんな工事がある?

原状回復が必要になった場合に、その工事にはどのような種類があるのでしょうか。不当な請求をされないためにも知識として吸収しておきましょう。また、必要な原状回復工事を怠ってしまうことで貸し主に迷惑をかけないためにも必要に応じてきちんと対応したいものです。一般的に考えられるものを説明します。

【1】内装解体工事

間仕切りなどを解体していきます 間仕切りなどを解体していきます

主に店舗や事務所として使用される物件に多いものです。使いやすさを優先して部屋を間仕切りしたり壁や床に変更を加えたりした場合にそれを解体する工事です。店舗の場合で言えばカウンターや厨房などすべてのものが含まれます。一般の住居でも内装解体工事は行われることがあります。

近年は居住する人の使いやすさやニーズを優先して内装を自由にリフォームできる物件も存在していますが、退去の際には原状回復工事が必要になる場合が多いので、気をつけましょう。小さな棚の設置でも解体は必要です。また、原状回復工事を適切に完了させる意味でも元の状態がどうであったかを明確にしておくことは大切です。

【2】スケルトン仕上げ

主に店舗、事務所に多いスケルトン 主に店舗、事務所に多いスケルトン

スケルトンとは、内装のすべてを解体し取り払うことを言います。こちらも店舗や事務所などが主ですが、使用していた棚や間仕切り、什器はもちろん、壁紙や照明器具などすべて撤去して躯体だけにするというものです。スケルトン仕上げはいくつか注意点があります。
前の借り主が使用していた内装のままで使用できるものを『居抜き物件』と言いますが、居抜きで借りた場合であっても退去の際にはスケルトン仕上げが必要になることが一般的です。

腑に落ちないという考え方もありますが、前に使用していた業種が同業者の場合などは自分で内装に手をかける面倒や費用が抑えられるというメリットを重視すれば、総合的には損をすることはありません。しかし、使用に耐えられるものであるかどうかを契約前に十分確認しておくようにしましょう。

【3】廃棄物処理

物件内の廃棄物に関する処理も原状回復工事として含まれます。借り主が自ら回収して適切に処分できるものもありますが、そうではない廃棄物に関しては専門の業者に依頼するなどの義務を負うことになります。退去の際には、僅かな不用品や廃棄物もそこに残しておいてはいけません。

【4】照明器具の交換

既存のものは大切に保管しておきましょう 既存のものは大切に保管しておきましょう

照明器具は、住居として使用する物件でも事務所や店舗の場合でも、初めから付いているところと借り主が自分で付けるところがあります。自分で照明器具を付ける物件の場合は外しておきましょう。また、照明器具が付いていた場合でも違うものに変更して使うことがありますが、その場合も始めに付いていた照明器具に戻しておかなければなりません。
交換して使う場合には、始めから附属していたものを失くしたり破損させたりしないよう、退去の時まで大切に保管しておきましょう。仮に失くしたり破損したりした場合には弁償しなければなりません。

【5】クリーニング作業

退去の際に行う室内のクリーニングのことです。居住を目的としている物件では、借り主が手配するより退去後に貸し主が業者に依頼するケースが一般的です。このクリーニング費用は入居の時に支払う敷金から充当されます。事務所や店舗のようなテナントの場合は、内装解体などに伴ってハウスクリーニングまで借り主が行ってから退去するケースが多く見られます。

原状回復の内容は状況次第!ケースで必要な項目は異なる

原状回復をどこまで行うかという問題はトラブルに発展することが多く、賃借をする時に賃貸借契約書をしっかり把握する以外に口頭での確認も重要です。特に、賃貸借契約書に盛り込まれていない場合やあいまいな表現で済まされている時にはしっかり確認しておきましょう。必要に応じて覚え書きなどを追加で作成して取り交わしておくのもいいかもしれません。では、一般的に必要と思われる原状回復工事を住居の場合と事務所や店舗などの場合でそれぞれ例を挙げてみましょう。

アパート、マンション、戸建て住宅などの場合

・故意または過失によって生じた破損や汚損(ペット飼育、子どものらくがき、壁に穴を開けた場合など)
・使いやすさを重視して改造を加えたもの(棚の設置やドアの交換など)

勝手な改造をするとかなりの料金を請求されるかも・・ 勝手な改造をするとかなりの料金を請求されるかも・・

一般的に賃貸物件の場合は、居住者が自分で勝手な改造を加えることを禁じているところが多いものです。それに対して改装を加えてしまった部分は原状回復工事として義務を負うという考え方がされます。
ペットの飼育に関しても同様で、飼育を禁止している物件内で飼育し、それによって生じた破損や汚損に関しては当然原状回復工事の対象となります。また、ペット飼育を可能としている物件で事前にその分の敷金を支払っている場合でも、飼い方によっては著しく損壊したり悪臭がついたりするケースもあり、敷金以上の費用がかかるケースも見られます。中には居住者が内装に手を加えることを使用条件として認めているところもありますが、その場合も退去する時には元の状態に戻しておくのが通例として考えられます。

しかし、賃貸借契約の中にない場合でも原状回復工事を必要としない例外はあります。例えば、冷暖房が設置されていなかった物件に入居者が設置した場合のように物件に付加価値を加えるようなものは、貸し主が了承すれば外さなくて良いケースも出てきます。この場合は冷暖房を買取ってもらえるわけではありませんが、交渉次第では原状回復工事が不要と判断されるケースの一つです。ただし、使用不能なものは不用品を故意に残してしまう行動になるので、機能的にも問題なく使用できるもので貸し主が了承した場合に限定されます。

事務所や店舗などの場合

・営業を目的に行ったすべての内装工事(看板の撤去、床や壁のリフォーム、その他)
・故意または過失に関係なく通常では考えられない破損や汚損(外壁、設備、共用部分など)

すべてを撤去する必要があります すべてを撤去する必要があります

事務所や店舗などで使用する物件は、ビルやマンション、戸建てなどさまざまです。使用目的に応じた賃貸借契約を締結するのが一般的で、内容はそれぞれ業種や目的で異なりますが、営業を目的として使用する物件の場合は内装に手を加えるケースが多くなります。そのほとんどは内装リフォームとせいぜい屋外の指定された場所への看板設置などに留まりますが、そのすべてを撤去するための原状回復工事が必要です。住居の場合よりも工事にかかる費用は大きくなる傾向があります。

項目毎で考える原状回復工事費用の相場

原状回復工事の主な種類を挙げてみましたが、それぞれの工事に必要な費用の相場をまとめてみました。面積や建物の種類、そして初めに行った工事の度合いに応じて細かい部分は異なりますが、目安として捉えておきましょう。

内装解体工事

解体工事の費用は坪単価で考えるのが一般的な出し方です。特殊な内装工事を行っている場合は割高になる可能性もありますし、地域差もあるので物件のある地域の業者で異なります。坪数に応じて変動しますが、10坪以内の場合は一般的には1坪当たり4万円前後、10坪以上の場合は1坪当たり3万円〜6万円程度が相場のようです。

スケルトン仕上げ

スケルトンは内装の一切を取り払う工事ですが、こちらも坪単価で計上されるのが主な方法です。一般的には2万円〜6万円程度が相場のようで、廃棄物の処分なども含まれるのが主になっています。

廃棄物処理

解体工事に伴って必要になることが考えられるため、解体工事費に含まれていることが多いですが、廃棄物だけ処分する場合は専門の業者を手配します。解体で出る木くずやコンクリート片などを中心に考えた場合、相場は自治体や業者によって異なりますが、東京都内なら、1立方メートル当たり5千円〜2万円程度、大阪では5千円~1万8千円程度が一般的です。

クリーニング作業

ワンルームから2LDK程度の広さなら一般的に2万円〜7万円程度を目安として考えましょう。店舗や事務所の場合は、ビルの階層に応じて価格が変動することもあります。また、エアコンクリーニングに関しては借り主の負担としない考え方が一般的です。
照明器具に関しては、面積の広い事務所などの場合でもなければ、通常は借り主が自分でできる範囲として考えられます。特に込み入った配線や設置などをしない限りは簡単に取り外しや交換が可能で、業者に依頼するのは稀なケースです。

また、店舗や事務所の場合、照明器具の変更が行われていれば内装の解体から必要な場合が多いので、その中に含まれてしまうことが多くなります。

適切な原状回復工事を行うために!種類と相場を把握しておこう

原状回復を行う前にどんなものなのか調べてみましょう 原状回復を行う前にどんなものなのか調べてみましょう

アパートやマンションなどの集合住宅、そして戸建て住宅など住居としての使用を目的にした物件は、入居時に礼金と敷金を貸し主に支払うのが一般的です。それぞれの計算法は家賃を基準に数ヵ月分として計上されています。礼金は基本的に返金されないもので近年は排除しているところも多いですが、敷金は入居中に瑕疵があった場合に充当される分として前払いしているものです。通常使用で退去の際は、クリーニングや畳替えなどを敷金から充当し残りは借り主に返金する性質のものとして扱われています。

しかし、中には過失や故意による汚損や破損なども見られないのに、敷金の返金をしない貸し主もいます。また、敷金から差し引いていながら、ハウスクリーニングや畳替えも実際には行っていない貸し主も存在しています。
敷金に関しては退去時のトラブルも多いため、法で規制する必要性があると考えられています。このような悪質な事態を防ぐためにも、原状回復工事が必要な例とそれぞれの相場を把握しておくことは重要です。また、退去の際には明細を請求し、不明な箇所や不審な点が見られたら確認しましょう。

敷金の返還請求には時効があります。法解釈により5年と考えられる場合もあれば10年という見方もありますが、いずれにしても必要性のない使途で不要に敷金が返還されない場合には、放置せずに早めに確認と請求をすることを忘れてはいけません。
建物は、使用年数に応じて経年劣化から価値自体が下がるのは自然なことです。こうした通常損耗分は、毎月支払う賃料によってまかなわれているというのが本来の考え方であり、日本で一般的になっている畳替えやハウスクリーニングに至っても、退去後に貸し主が負担を負うものという判断も増えています。

原状回復工事に関しては、あくまでも経年劣化や通常使用以外に生じた破損や汚損、そして入居時の状態と異なる改装や改造を借り主が行った部分にだけ義務を負うものという考え方を基準に判断しましょう。

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